「23' パーマカルチャーアイテムづくりWS@楽西」レポート

■パーマカルチャーアイテムづくりWS その2@ 楽西自然農園
3月4日の土曜日、楽西自然農園でパーマカルチャーアイテムづくりWSその2
「春から始まるパーマカルチャー菜園作り」が開催されました。


毎度この講座は快晴。本当に天気に恵まれていてとてもありがたいです。
今回のワークショップは、これまでの一連の講座から派生したスピンオフの集大成となります。

 

午前中は座学から。「パターン」について学びます。
宇宙の摂理としてエネルギーの形は枝分かれのパターンと螺旋の循環性のパターンがある。
川や血管のように枝分かれして流れるパターンと台風や銀河、DNA、つむじや指紋などらせん構造の循環性のパターンがあります。暮らしでもパターンが有り、人間や牛の出した糞が燃料や堆肥になったりで循環している。一方通行なグローバル社会でなくパターンのある世界に戻していこうとするのがパーマカルチャー。
世界にはジェネラルコアモデルという普遍的なモデルがあり、いろんなことが説明できる。
ビル・モリソンは問題解決出来ないことも解決できるとしている。パターンに沿って動くと地球環境を壊すこともなく、全てがうまくいく、理にかなっている。
骨や木の形などいろいろな物の形の基礎でタイルにも利用され、世界を埋めていくことができる。
トーラスという形も動的なものでエネルギーが回っていて円環の繰り返し、命、磁場もエネルギーがぐるぐる回って循環している。人間はインプット
するばかりでアウトプットできない人が多く、表現できない、出すことが出来ない人は違う方向に走ってしまう。人間含め、生命は出したがっていて自分を表現したがっているのにうまく巡っていない。人間以外の動物、鳥や虫、植物など全ての生命体、無機物もパターンをもって生きている。
生態系遷移はこの螺旋と枝分かれになっている。自分を広げたい伸ばしたいという地球上の植物のパターンにすると森になっていく。なので耕すというのは地球のパターンに反するのでずっと人間の手間がかかる。森は多様性の宝庫で動物、植物、虫、地中の菌根菌などにいい関係性を保つ。


木は建材、食べ物、日陰、薬、樹間水、炭、染料、燃料、酸素を出したりして多機能。

人間も多機能で昔は百姓で百の仕事が出来ていたが現在は限られている。

 

森も木ばかりでは多様性でないので裸地も必要。人間の暮らすところには特に裸地も必要でゾーニングで分ける。
ゾーン0は人間の家として、そこから遠くなるにつれて毎日必要でないものになっていく。
ゾーン1は毎日行く必要なものがあるところ、
ゾーン2は野良、ゾーン3野辺(果樹園、茶畑、しきび、榊など)、
ゾーン4は里山、ゾーン5は奥山で人間の立ち入らないところである。
野辺にもパターンが有り、例えば柿があり木の下にミョウガがあり、ふき、山椒の木(日陰が好き)、グミの木もある。グミの木は鳥が来て害虫・実を食べ糞をして土が肥え年中緑になる。ネムの木などマメ科の木も根粒菌を通じ、空気中の窒素を土中に流し他の植物にも窒素固定をし供給してくれる。


畑にもパターンがある。

 

スリーシスターズというのが、とうもろこし、かぼちゃ、いんげん豆の3種を植えるというパターン。かぼちゃは地を這いマルチになり雑草防ぐ、とうもろこしはいんげん豆の支柱になり、いんげん豆はマメ科で地中に窒素固定をしてくれる。
少ない動線でお互いに活かす素晴らしい関係である。

 

キーホールガーデンというのは、省スペースで機能的な形状であり、真ん中に立つだけで全てに手が届くというもの。

ここにはお互いを活かし合う関係の野菜を育てやすく多様性が生まれるようにする。

 

ヒューゲルカルチャー:ドイツの伝統的な農法のひとつ(これと似た仕組みのもので日本の落ち葉床というものもある)。
木の幹や枝を並べ、落ち葉などを乗せて上から土を盛りそこに野菜を育てる。

幹や枝などが養分となり、また適度に朽ちたそれはスポンジ状になり水分供給源ともなる。


スパイラルガーデン:らせん構造で円錐形の一番上は乾燥を好むものを植える。北向きは日陰、南は日を好むものを、一番裾の下は湿気を好むものを植える。水辺はタイヤのホイールなどで作ったりしてもいい。


移植・剪定の仕方:
移植は木の根っこを切ることになるので、ジェネラルコアモデルで例えると、同じ感じで枝葉を剪定してあげたほうがバランスが良い。
根から水分を吸い上げるのと葉から蒸散する水分のバランスをとってあげる。
下がり枝、立ち枝、平行枝、内向枝、重なり枝などの忌み枝を切る。
無駄に枝は切らないが、枝葉をコントロールし、落葉樹は冬の落葉期が剪定に向く時期である。


辻幸子さんの美味しいお弁当を頂き、午後からは、果樹の剪定と移植の実践編です。
移植を行うには、移植のためのスコップが何種類かあり、根切のための尖った先のないスコップなどを使います。

ゾーン1の畑の真ん中にさくらんぼ、柿、栗があり、それらをゾーン3となる農園の下部へ移植します。


移植は移植する木の幹の3本分の長さを半径にして掘り起こします。
移植する際のスコップの入れ方や根っこや木にダメージを与えないようにするにはどうしたらいいかなどケンさんから、本業ならではのプロの目線でのアドバイスをいただけました。皆さんで剪定をしたり、移植で掘り起こしをしたりそれぞれ分かれて行いました。


先に剪定をしますが、
・下の方の枝を残す。
・外へ広げてあげる
・他の枝を干渉しているものを切る
・一番先の芽がエネルギーが強く、それは残しながら外芽で切る。
・分かれている枝は途中で切らず、際のところで切る。
移植は根っこを傷つけないように丁寧に麻の巻物でぐるぐるに巻き、一輪車で運びました。
新しい移植先では、生えていた状態で同じ方角になるように植えます。
植え替えたあとたっぷりのお水をバケツであげて植え替え完了しました。


休憩の後、ヒューゲル床でキーホールガーデン作り。
みんなで元々畑があったところ、こぼれ種で育っていた野菜やお花などを移植しておき、キーホール型に穴を掘っていきます。
そこへ、丸太や枝、バナナの枯れた樹皮などを入れていき、その上から落ち葉を入れていきます。落ち葉をいれたら次は土をこんもりと盛っていき、ゾーン1のすごく目立つ場所にシンボル的な形のキーホールガーデンに生まれ変わりました。これからは毎度このキーホールガーデンが迎えてくれます。


昨年から連続開催していたパーマカルチャーのデザインWSは今回で一区切りとなります。
講師のケンさん、あびくさん、農園長のよんちゃん、ほかご参加された皆さん、本当にありがとうございました。

まだまだこれからも楽西自然農園は進化していくと思いますので、よろしくお願いします。


(河岸佳子)


■ パーマカルチャー・アイテムデザイン・ワークショップ「雨水活用」
  @楽西自然農園

2月11日の土曜日、楽西自然農園でパーマカルチャーアイテムづくりWSを開催しました。前日は一日雨、当日は降水確率0%の曇り時々晴れという、なんだか絶好のWS日和。
今回のワークショップのテーマは「水」。
蛇口をひねれば当たり前のように出てくる水。生まれてから今まで、ご飯を食べなかった日はあったとしても、一滴も水をとらなかった日は多分、無い。
人間は一切食事をとらなくても2~3週間は生きられるそうだけど、一切水をとらなかったら3日で死んでしまうらしい。
飲み水や食事に必要なことはもちろん、お風呂や洗濯、掃除やトイレなど、日常生活に欠かせない水。
都会に住んでいたら、お金を払うことで水道を当たり前に使うことができるけど、もし何かの災害や大きな事故などで突然供給が絶たれてしまったら?
山の中や森の奥など、そもそも水道管がつながっていない場所などでは、水の確保=生命・身体の安全確保に直結する。
そもそも水はどこで手に入る?
川や池や湖、海、井戸、湧き水、それこそコンビニやスーパーで売ってるペットボトルの水、もしくは植物から得られる水…そんな中、日本の気候で万人がどんな状況でも得られる水は「雨」。
その雨を集める方法として、講師ケンさんこと橋本憲一郎さんからいろんなアイデアやアイテムが紹介された。
家の屋根、雨樋から、シートや網を張って、傘を裏返してなどなど。
楽西自然農園には冬でも葉っぱが散ることの無い常緑樹「アラカシ」がある。このアラカシさまに雨水を集めていただく「樹冠水」をやってみることに。
枝先に密集しつつも、一枚一枚重なることなく独立して存在している葉っぱ。その葉っぱを例えば全て外して並べていったとしたら総面積はどれくらいになるだろうか。その葉っぱ全てについた雨水は末端の枝から細い枝へ、細い枝から太い枝へ、太い枝から幹へ、と全部の水が最終的に集まってくる場所でロープを巻き、そのロープの先にタンクを設置すれば、雨水がロープを伝って効率よく貯まるシステムがつくれる。
ということで容量200Lの大きなタンクの下部に蛇口を取付け、樹冠水を取り込む穴をタンク上部に空ける。アラカシにロープをくくり付けタンクとつなぐ。
↓↓↓
樹冠水集水システム完成!!
さっそくテストとしてケンさんが木に登り、ジョウロで擬似的に雨を降らし、枝から伝う水がタンクに集まって来る様子を確認。
…す、素晴らしすぎる…
これみんなやったらいいのに!!
ちなみに雨水は最も「真水」に近く、超「軟水」らしい。
山の湧水や地下水など、一度地面に落ちた水は、地面を流れる内に様々なミネラルを含んだりするそうで、そのカルシウムやマグネシウムなど含有
量が多いと硬水、少ないと軟水といわれるそうな。
コーヒーやお茶を淹れる、パスタを茹でる、お米を炊く、などにも軟水か硬水かで風味や口当たりも変わってくる。
軟水は汚れなどもよく溶かしてくれるので洗濯や洗い物をするには向いてるとのこと。
雨水を沸かしたお風呂に入ったらお肌もスベスベになるんだろうな~ただし、降り始めの雨(初期雨水)は、大気中の汚染物質なども多く含んでいるので注意が必要。降雨時間の経過とともに、徐々に雨水はきれいになっていくので、雨水活用の際は、降り始めの1~2mm程度をカットする工夫を。
洗濯やトイレの流し水、植物への水やりなんかはそのまま雨水を利用できるだろうけど、飲み水や料理に使うには炭などを使って濾過したり、煮沸して殺菌したりして安全性を高める必要もあり。というわけで、楽西自然農園に設置したタンクはこれから雨が降るたび実際に雨水が貯まっていくだろうけど、「実際に雨水って飲めるの?」
ということで前日降った雨水を、ケンさんが持ってきてくれはりました。水取口を空けたペットボトルに活性炭を入れ、濾過された雨水を煮沸して、みんなで乾杯!
自ら意識して飲んだのはおそらく初体験となる「雨水」そんなコップ一杯の水を飲みながら思ったことは…
「水の惑星」と呼ばれる地球

地球の表面の3分の2は水で覆われていて、およそ14億立方キロメートルの水があるらしいけど大部分は海水で、淡水はわずか2.5%程度。しかも、この淡水のうち約70%は南極大陸などの氷で、残りのほとんどは地下水。人間が使える再生可能な水資源(川、池、湖など)は、地球上の水のわずか0.01%しかないらしい。
そのわずかな水さえも生活や産業の排水で汚れていき、安全に使える水がどんどん減っていっている。需要と供給という言葉があるけど、安全な水の量がそれを必要とする人の数を下回ってしまう日が来たらどうなるか、パイが少ないとそれを得ようとする人たちで奪い合いが起こる。
将来、水を巡って戦争がおこるという話を聞いた。
日本の土地がどんどん買われていってるのは実は土地よりもその地下水を狙っている、という話も。
しかし、しかし、
雨は空から万人に分け隔てなく降ってくるのだ。これはまさに天の恵みではないか!…
一杯の「天水」が僕の身体に沁みいる中、そんなことに想いをはせる。
参加されたみなさんからも一日を振り返って満足感ある感想が出た。
生きるために本当に必要なものとして欠かせない水。今は国や企業からお金を払って得ているけど、水を自給することが出来たらどれほどの生きる力と自信を取り戻すことになるだろう。
パーマカルチャーがもっと日常に、日々の暮らしの中に、みんなに広がればいいなぁ。
様々な思いを共有しながらワークショップは無事に終了。
主催者の僕がいうのもなんだけど、いやぁ、本当にいいワークショップだったなぁ。
初めて飲んだ天水はなんとも口当たりまろやかで美味しかったです。
講師ケンさん、あびくさん、美味しいお弁当をつくってくれた辻さっちゃん、ご参加いただいたみなさん、本当にどうもありがとうございましたm(_ _)m

(李よんひ:楽西自然農園園長)