「パーマカルチャー・キッズプログラムー木火土金水とつながろうー21' 」レポート


■パーマカルチャー・キッズプログラム-木火土金水とつながろう-
第5回(最終回)「火」

人が「火」を扱うようになる前、自然界における「火」は、地中から噴き上がる火(=マグマ)や天から落ちてくる火(=稲妻)からもたらされるもので、そんな自然発火の「火」を持ち帰って消さないように大切にしはじめたことが、人と「火」の始まりだった…

絵本を見ながら、そんなお話から始まった「火」がテーマの最終回。
そんな、自然からもたらされていた「火」を、人が自分で起こせるようになるまでに、どれだけの時間や試行錯誤があったのだろう?
その過程すら想像もつかないけれど、なにはともあれ、火を起こしてみよう!ということで、火起こしに使えそうな素材を探しにチャッタナの森をみんなで散策しました。
集まったのは、火口に使えそうな枯れた松葉や杉っぱ、セイタカアワダチソウの綿毛、落ち葉、火起こし棒に使えそうな枯れたあじさいの枝、薪に使えそうないろんな枯れ枝…などなど。

火きり棒には乾燥したセイタカアワダチソウの茎やあじさいの枝がいいらしい。それは、中が空洞だったり柔らかい髄だったりすることで、摩擦でも先が尖らずに使えるからなのだそう。

集めた素材と、大人たちが持ち寄った火起こし道具を使って、あちこちでいろんな火起こしが始まりました。

錐もみ、弓きり、舞きり、火打石と火打金、マグネシウムとナイフ…

火起こしの道具や技術も進化と共に、より効率よく、より着きやすくなっていっていることが体感としてわかります。

舞きりしながらこれ欲しい!という子どもがいたり、子どもたちが交代交代で錐もみを必死に擦り合わせて出てきた煙に沸き立ったり…
そんな様子を楽しく見ながら思ったのは、今はカチッとスイッチひとつでも火が着けられる暮らしで、火起こしできなくても日常生活に困らないけれど、それでも火起こしを体験してみることの意味は何だろう?ということでした。

それは「火」というひとつの視点から、自然を観察して知ることでもあるし、観察して得たことを体験することでもあるし、自然と自分の暮らしの繋がりを感じることでもあるし、人の進化と自分の現在地を知ることでもあるし、インフラにただ依存するのではなく、自立する術も持ち合わせることでもあるし、重要機能のバックアップを用意することでもある、のかな。

火を使う動物は、人しかいません。
火を使うことで、人は文化を生み出し、暮らしはより豊かになってきました。

でも今、人は、自ら生み出した火で、文化を壊し、生態系を壊し、命を追い詰め、豊かさとは対極の使い方をしている側面があることも事実で、それは「火」というものが、人の所有物という認識から生み出されているのではないか、どんな燃料のどんな着火の火であれ、自然からもたら
された恵みであり、先人がしてきたように、感謝して大切にすることを忘れてしまっていることからその事実が生み出されているのではないか、そんな気がしています。

火を起こしてみることは、そんな、人が「火」を大切にしていた原初の想いへ立ち戻ることでもあるのかな、と。

火がもたらしてくれる豊かさ。
美味しい、暖かい、人が集まる。

そんな豊かさを、起こした焚き火でマシュマロを焼きながら、焼き芋や焼きみかんをほおばりながら、おしゃべりを弾ませながら、心も身體もホカホカと暖まった「火」の回でした。

木火土金水という自然界の要素ひとつひとつを体験してきたキッズプログラム。
子どもたちひとりひとりの心に蒔かれたパーマカルチャーという種は、きっとひとつひとつ違い、それぞれの土壌によって、それぞれ固有に芽吹き成長していくのだと思います。
こどもたちそれぞれのさまざまな好奇心や価値観、無邪気さに出会えたことが、とても楽しく嬉しく幸せな時間でした。

貴重な機会に参加させていただき、ありがとうございました!
(野村潤:受講生)



■パーマカルチャー・キッズプログラムー木火土金水とつながろうー
 第4回「金」

今回も、銅精錬所と古墳見学、石の観察、池づくりなど盛りだくさんの内容でした。
一番印象にのこったのが石の時間。
子供達が次々と見てみてーと拾った石をみせにやってくる。
こんな石見つけた!そうやってみせに来てくれる子供たちの姿がたまらなくかわいい。
そして参加者の方に石のコレクションをたくさんみせてもらった。
ルーペから見えるその小さな石が違う世界に連れて行ってくれる。
洞窟の中にいるような感覚、宝石に囲まれているような神秘的な感覚。
いろんな世界が見える。
石って不思議だ、小さな子供たちも石には興味津々。
橋本さんにいろんな石の本を読んでもらい解説してもらう。
絵本にひっつきそうになるほど前のめりになる子供達(笑)
もっと知りたい!子供のそんな好奇心が根底にある学びは最高だと思う。
そして、この前のめりの姿勢が本来の聴くという姿勢なのだと思う。

一人だと広がらない世界も、一緒に楽しめる仲間がいればどんどん広がっていく。
大人になり立ち止まることのなかった世界を子どもたちが教えてくれる。
そんな時間がもてることはとても幸せだと、心から思った今日の一日でした。

次回は最終回、名残惜しいけれど、とても楽しみです!

(岸田通代:受講生)



■パーマカルチャー・キッズプログラムー木火土金水とつながろうー
 第3回「木」

ちょっと顔見知りになったこどもたちが集まる。
今日はどんな知らない世界に出会えるのか?ってオトナが思うくらいだから子どもたちはもっとわくわくしているに違いない。


テーマは「木」。毎回 憲ちゃんの話の切り口から落とし込みまでの時間が楽しみでもある、オトナも存在しているキッズプログラム。

 

チャッタナの森のクヌギの木を見上げて自然のパターンを見つけ出す「枝分かれ・螺旋(うずまき)」
子どもたちの口から これも!あれも!とどんどん出てくる。


「枝分かれってカラダの中にもあるね。」隣にいた小学生が「あ!!しわも枝分かれ!」って横でつぶやいて笑わせる。

 

野外で子どもたちがどんどん声をあげるこのプログラム、ノートを懸命にとる子もいれば聞いてないのか?とおもっていると、オトナも驚くような発想で切り込んでくる。

 

憲ちゃんと子どもたちの学びのキャッチボールを見ていて「野外寺子屋」だな〜と毎回思う。
午後チャッタナの森を「自然がつくる不思議なパターン」を求めてみんなで歩く。


あ…これ波型!枝分かれ!うずまきみつけた!手にはそれぞれ見つけたパターンを握りしめている。雨が降り室内に移動して自分の持ち帰った自然物を絵にしてみる。アートだ!


感想をシェアしたあと憲ちゃんから…「螺旋(スパイラル)はずっとつながっていくカタチ、命はめぐるよ」と。大事な場所にたどり着いた今回のテーマの「木」でした。

(中田啓子:受講生)



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 第2回「水」

前回参加して、たくさんの刺激を受けたキッズワークショップ!

今回も楽しみにしていました。

 

憲さんの「いつもどんな水を飲んでいる?」の問いから始まり、水がどうやってできるのか、子どもも大人も混じって考えました。

 

海、川、水蒸気、熱、太陽、浄水場、木、地下、枯葉

 

など、小学生の知識を元に、どんどん言葉が出てくる!

 

それを絵にして、関係性をみんなで考えてみる。

子ども達は、その絵を元に、どんな風に水ができるか自分達で絵を並べ変え、水の循環についてイメージを構築していきました。

 

初めて会った子、2回目、前からの友達。

会った回数は関係ない。子ども達が他の意見も取り入れつつ、「こうじゃない?」と答えを導こうとする集中力や好奇心に、大人もワクワク!

昼食後、子ども達みんな混じって鬼ごっこ。

大人達は水の学びを分かち合う充実した時間(^^)

 

昼からは周りにある雨水と池の水をパックテストのチューブを使ってpHや鉄分などを視覚化して比較。実験感覚で楽しむ子ども達!

そして、雨水、水道水、湧き水を活性炭でろ過して味見。

「雨水はきれいだろうか?」という憲さんの問いに「塩素が入っていないから汚いと思う」と答えた子どもが。でも雨水は飲んでみると「普通に美味しい」湧き水は「サラッとする」「後味が硬い」との感想。多可町の水道水は塩素感をあまり感じず、美味しかったです。笑

 

体験するだけで終わらず、雨水と池の水、どちらが栄養分があるか。栄養分があることで植物にとって、どう影響があるかまで伝えるところが、パーマカルチャーをベースにする憲さんの伝え方。

視点を広げて物を見ることや物事の成り立ちについて根源から想像し、「自ら知ろうとすること」の大切さを教えていただきました。

 

子ども達も、さすがワークショップに参加する子ども達で「答えが正しいか」よりも「考えるプロセスの楽しさ」や「学んだことを咀嚼して自分の中に落とし込むこと」に楽しさを見出している印象を受けました。

 

子どもも大人も受け取るものたくさんで、共にワークショップを作っていっている感じが温かくてうれしいわたしも子どもの時、こんなワークショップを受けたかったー!!と、とても思うワークショップです。今から次回が楽しみです

 

(小林ちさと:受講生)



■パーマカルチャー・キッズプログラムー木火土金水とつながろうー
 第1回「土」

初の試み、子供たち対象のキッズワークショップが遂に始まりました!
開催する私たちもドキドキの第1回目です。

今回のテーマは「土」。
土のこと、自分たちとのつながり、多様性のことなどを、どういう方法で
したら、子供たちに伝わるのか、手探りの中での始まりでした。

まずは自分たちの思う「よい土」探し。
縦割りで考えていたグループ分けも、急遽、横割りの方がいいと考え、近い
年齢の子たちで分けて土を探してもらうことにしました。
結果、年齢ごとに探し方が全然違う!

カサカサする、カブトムシの匂い、色、形、など。
手触り、匂い、見た目、感覚、経験、子供たちが五感を総動員させて探す姿が
印象的でした。

探す前に土のなりたちのお話もしていたので、中には石を削って「生まれたて
の土」を作る子も!

「よい土」というお題も、どういう風に探してもらうか良い言い方が見つから
ずだったのが、ある子が「土にも色々種類があってそれぞれに役割があるから
いいか悪いかで探せてないけれど」と前置きしてくれたことで、伝えたかった
ことを逆に明確にしてもらったりもしました。

感じたこと、学んだことしっかりノートにまとめていく子や、団粒構造も学校
で習ったけれど、体験を通して学ぶことで、ストンと理解できたと話してくれ
た親御さんもいらっしゃいました。

植物が育つ土を、暮らしの中では、生ゴミコンポストで作り出せることや、
そこに温かい体温(?)を持った生き物がいっぱい働いてくれていることも、
触ったり、匂いを嗅いだりすることで、体感してもらえたのではないかと思い
ます。

参加者のみなさんとこの講座を育んでいける環境になったことも、とても
ありがたく嬉しい始まりでした。色々反省点、改善点はあるものの、私たち
の伝えたいことが、少しずつでも伝えられたような感覚があり、うれしく思う
とともに、当初の心配や不安はどこへやら、私たち自身がとてもワクワクして
楽しい講座になりました。

次回は「水」がテーマです。
どんな内容を育めるのか次回もとても楽しみです♬

(あびく:パーマカルチャー 関西スタッフ)